企業と支援団体をつなぎ、物資やサービスを必要な人に届ける「Good Links」。サントリーホールディングス株式会社は、自社のノベルティを中心に物資を提供しています。それだけではなく、プラットフォームの運営自体も支援してくださっている同社。CSR推進部長の一木典子さんに、Good Linksの利用方法や支援にかける思いを伺います。
支援を決めたのは、Civic Forceの取り組みに感銘を受けたから
――Good Linksの活用方法を教えてください。いつごろから利用され、どのような物資を提供されましたか。
2023年7月に、メモパッド、レジャーシート、スケッチブック、手ぬぐいを提供しました。これらは弊社の工場見学等でノベルティとして配っていましたが、モデルチェンジによりそれまでと同様の方法では使用できなくなったものなんです。質はいいのにもったいないなと思い、試行的にGood Linksにお預けしてみようということになりました。
――Good Linksについて知ったのはどのようなきっかけでしょうか。
Civic Forceの代表である根木さんからご紹介いただきました。根木さんには、社内向けに災害支援や防災にまつわる講演をしていただいたことがあり、そのときに当時立ち上げたばかりだったGood Linksについて聞いたんです。これは世の中にとって非常に必要な仕組みであり、意味のある新たなチャレンジだと、とても感銘を受けました。
――どのあたりに感銘を受けられたのでしょうか。
まずは、日ごろから困難度の高い方々は災害時にも脆弱で、真っ先に苦境にさらされるという視点です。Civic Forceさんはもともと災害時の即応支援を得意とされていて、その経験から、苦境にさらされがちな人に、できるだけ早く必要なものを届ける仕組みをつくりたいと考えておられました。
ふたつ目が、災害時だけではなく平時から活用してもらえるようにしたいということ。災害時にはじめて動くのではなく、平時からつながっておき、仕組みの使い方に慣れておくことが大切だという発想でつくられています。わたしも前々からフェーズフリー(平時と災害時を区別せず、日常で使うものやサービスを災害時にも役立てようという考え方)が重要だと考えており、そこへトライされていることに感銘を受けました。
3つ目は、物資やサービスの提供先を、行政ではなくNPOなどの支援団体としているところです。わたしたちは、行政とつながれば自動的に市民にもリーチできると考えてしまいがちですが、被災地の自治体も被災していますし、対応すべきことが多く、公平性も求められる。だからこそ、NPOの方がこうしたシステムを通して、変化するニーズを捉えながら、必要な人に迅速に届く仕組みも併存しているほうがいい。また、行政に比べると異動も少ないので、システムを使いこなす力が持続していくとも伺いました。
災害が多発しているこの時代、個々人のそなえ(自助)も重要ですが、すべての人が万全のそなえをするのはすごく難しいですよね。Good Linksは共助や互助の力を高め、広げていく新しい仕組みです。公助・自助に加え、意志ある方々がいろんな人と仲間になってつながり合っておく共助・互助が、みんなが安心して暮らせる社会づくりの鍵になっていくのではないでしょうか。
自社の社会貢献活動の理念とも合致したGood Linksの活動
――Good Linksでは、原則的に、災害時以外は飲食物の提供を受け付けていません。しかし、サントリーさんに飲食物以外の物資を提供していただいたことで、ほかの飲食に関わる企業さまに「飲食物を提供すること以外の支援方法もあるんだ」と感じてもらえるようになりました。
日常使いできるスケッチブックのようなノベルティが生かせるのは、平時から現場とつながっているGood Linksだからこそですよね。また、そうしたニーズをきちんと収集するCivic Forceさんの現場力もすばらしいと感じています。被災時の支援のエピソードで、香りのいいハンドクリームが喜ばれたということを伺って、なるほどと思いました。避難生活ではいろいろなことを我慢してしまいがちですが、緊張が続くなか、いい香りのハンドクリームやスイーツなどでほっとする時間があったらいいですよね。そうした感覚は海外の方はお持ちだそうですが、日本人は真面目で遠慮がちなのか、最低限の物があればいいと考えてしまうそうです。多くの被災地の現場の声を聴いてきたからこそ、そこに一歩踏み込んで、避難生活をいかに日常生活に近づけるかという価値観で活動されているのはすばらしいと思います。
――サントリーさんは物資を提供するだけではなく、Good Linksの運営自体を支援しています。その理由を教えてください。
サントリーでは、社会貢献の重点活動として、困難に直面している子ども・若者をエンパワメントする「君は未知数」という活動や、被災地支援・防災への取り組みを行っています。Good Linksを利用している団体には、子ども支援やひとり親家庭支援をしているところが多いので、弊社が重視する活動に合致する大切な取り組みとして支援させていただききました。
資金提供以外にも、Civic Forceさんのよりよい活動が発展するよう、人材紹介の団体や、広報ツールの制作会社をご紹介したことも。社内のDX戦略部の方々に協力してもらって、サービスデザインを一緒に考えたり、システムをよくするための意見交換の機会を設けたこともありましたね。
Civic Forceさんとは同じ船に乗っている仲間だと捉えているので、これからもわたしたちにできることを考え、一緒に成長していきたいと考えています。
――物資やサービスの提供を検討している企業へメッセージをお願いします。
この仕組みがもっと広がると、どれだけいい社会になるだろう。そう想像するとワクワクします。大きなビジョンを叶えるためにはたくさんの方の参画が必須ですから、やはり多くの仲間を集めたい。ぜひ、その一員になりませんか?と伝えたいです。
企業がGood Linksを利用することのメリットのひとつは、廃棄ロスになりそうな物資をまとめて提供できることです。しかも、中間支援団体にお渡しして終わりではなく、最終的にどんな方々の手に渡り、どのように活用されているかフィードバックを受けることもできる。その情報を社員にシェアすることで、自分の会社が有意義な取り組みをしていることや、自分たちの提供したものが役立っていることを実感してもらえるんです。それが、社員の誇りやエンゲージメントにもつながっていくと感じています。
――今後のGood Linksに期待することはありますか。
サントリーの事業開発も同じなのですが、ご利用者の声をしっかりと取り入れながら、つくりたい未来像に向けてシステムをよりよくする営みを続けていくことが大切だと考えています。プラットフォームは物資提供者とユーザーの両方が増えてこそ、最終的なインパクトにつながるものです。ですから、Good Linksの仕組みを磨き、価値を広めて仲間を増やす活動を粘り強く続けていただきたい。そうすることで、新しい社会インフラともいえる仕組みへと成長していくことを期待しています。